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質問1〜20 質問21〜40 質問41〜60 質問61〜80 質問81〜 資料集(質問1) 効果ある、ないと歯科医師の間でも分かれているのは、やはり問題があるのでは。 (回答) (質問2) 園児の場合飲み込むことがおおいに考えられるが飲み込んだ時の害は。 (回答) (質問3) 長い間蓄積されて害がでてくるのでは。 (回答) (質問4) 歯が部分的に白くなるのでは。(はんじょうし) (回答) (質問5) 歯が白と黄色になるのでは。 (回答) (質問6) 神経に害がでるのでは。 (回答) (質問7) いいフッ素と悪いフッ素があるのでは。
(質問8) 奇形になるという話しを聞いたが。 (回答) (質問9) 真っ黒になるのでは。 (回答) (質問10) アレルギーの心配は。 (回答) (質問11) 乳歯の段階で使い続けると丈夫になりすぎて永久歯がでてくる時にじゃまする可能性があるのでは。 (回答) (質問12) フッ素を使ったとしても結局虫歯になる。ならばあえて使わなくても。 (回答) (質問13) 薬品の管理に責任をもてるか。 (回答) (質問14) 今、学校や幼稚園で一斉に取り扱う必要があるのだろうか? (回答) (質問15) (回答) (質問16) (回答) (質問17) フッ素洗口を希望する子どもとしない子どもがでると思われるが、その不平等などへの配慮が難しい。 (回答) (質問18) 指導者のいない園での実施は、事故ある時の責任はだれに。 (回答) (質問19) フッ素の安全性についてさまざまな説があり、戸惑うことが多い。 (回答) 1)私たちの身近にあるフッ素
フッ素は地球にある約100種類の元素のひとつで、量の多い順に元素を並べた場合、土壌中では18番目、海水中では12番目になります。 私たちの体もフッ素を構成元素のひとつとしており、人体に含まれるフッ素の割合は鉄よりも多いのです。 ◇フッ素は必須栄養素のひとつ 世界で多くの専門機関や学会がフッ素を必須栄養素としています。
私たちは、毎日食物から約1〜2mgのフッ素を取っています。さらに、飲料水から適量のフッ素が補われると虫歯予防に効果的です。 また、以下は「これからのむし歯予防」から一部引用しています。 2)フッ素洗口の安全性
3)世界の専門機関が勧めるフッ素利用 世界で150以上の科学や健康に関する専門団体がフッ素利用を推奨しています。
4)世界中に広まるフッ素利用
※日本のフッ化物利用状況1.フッ素洗口 なお、参考資料として「フッ素利用の国際的合意」と「フッ化物利用と歯科保健に関する近年の国内の動き」を以下に掲載致しますので、是非ご覧下さい。 フッ素利用の国際的合意
フッ化物利用と歯科保健に関する近年の国内の動き
(質問20) フッ素先進県や先進校もあると聞くが、それでもなかなか広がっていかないのはなぜか。
(回答)
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・フッ素洗口の有害性、無害性が明らかでない現段階では、フッ素洗口を教科の学習と同じ学 校教育の一環と考えることは必ずしも妥当ではないと考える。 ・同じく、フッ素洗口の有害性、無害性が明らかでない現段階では、学校当局がその実施を決定し、これを希望しない者は申し出るようにと父母に通知して洗口を推進するのは妥当ではない。 |
としている。
(回答)
1976年より16年後の1992年(平成4年2月)に文部省より「小学校 歯の保健指導の手引」が出されていますが、その中(19ページ)に「虫歯予防のためにこのような方法としては、集団的にフッ化物の塗布を行うとか、フッ化物などによるうがいを行うとかがそれである。
このようなときには、十分専門的な理解をもった上で、適切な手順のもとで注意深く行わなければならない」と書かれています。これについては資料2.を参照下さい。
(質問37)
学校でフッ素洗口をさせても、児童生徒の一人一人がむし歯予防に対する意識を持っていないと効果は上がらないと思う。
フッ素洗口がその意識高揚につながるという考えもあるが、逆だと思う。(フッ素以外の)むし歯予防について十分に指導を行い、意識を高めた上で、フッ素を選択し、個人的に取り入れていくのが筋ではないかと思う。
(回答)
基本的にはそのとおりだと考えます。ですから佐世保市内のすべての小学校に同時に実施することは混乱を招くだけなので、まず歯科保健教育を実施していないところはその実施から始めるべきであり、昼食後の歯磨きをしていない学校では、まず歯磨きから始めることが必要です。
ただし、十分な歯科保健活動を取り組んでいる学校で、全国に比べてまだ虫歯が多いところでは、フッ素洗口を集団で実施することを検討すべきではないでしょうか。なぜ集団でなければならないのかは、前述の質問でお答えしています。
(質問38)
薬物を用いた予防は明らかに医療行為であり、歯科医師が保護者に対して説明をし、医療機関で歯科医師が個別に行うものであると思う。
フッ素のむし歯予防への利用は、あくまで個人の自由の選択に委ねられるべきものであって、強制されるべきものではなく、学校での集団洗口には反対である。
(回答)
WHOも述べているように虫歯予防に用いるフッ化物の応用は、地域や集団で応用することがより効果的であり、必要とされています。通常の医療行為とはかなり趣を異にしていると思います。
もちろん、薬剤を用いることでもあり、薬品の取扱いや安全性については、十分に配慮することは当然と思います。また別項でも述べましたように、強制ではなく個人の選択は守るべきと思います。
資料3.のWHOの見解をご参照下さい。
(質問39)
日本弁護士連合会(日弁連)は、フッ素応用の問題を人件擁護の観点から調査してほしいとの、東京都世田谷区の消費者団体からの申し立てを受理し調査を行った。そして、その結果、1981年に日弁連は、厚生省と各地方自治体に対して、問題点を指摘する意見書を下記の内容で提出している。
(1)事実上(フッ素洗口が)強制にわたる方法で実施されていること。 (2)専門家の指揮監督下で(劇薬の取扱いが)行われていないこと。 (3)フッ素に対する情報が公平に提供されていないこと。 (4)フッ素の)有効性・安全性についての追跡調査がまったく行われていないこと。 |
学校でフッ素洗口を実施しようとすれば、上記のようなさまざまな問題点が浮上することは目に見えていると思う。
(回答)
現在実施しているところで上記の4点が実行されていないとすれば、問題だと思います。佐世保市で実施する場合には、そのようなことがないように関係者との協議を十分に重ねて実行すべきと考えます。
(2)については、資料4.の政府の見解にそってしっかりとした体制をつくることが必要だと思います。また(4)の追跡調査をするためにも現在実施している歯科疾患の集計作業が今後さらにより重要になってきます。
(質問40)
1989年11月10日、主婦連・日教組・都地消連・食生活改善普及会(新潟)・フッ素を考える新潟連絡会の代表と、粕谷参議院議員が文部省と日本歯科医師会に申し入れを行ったが、
『文部省』1989年11月10日 午後2時〜3時10分 石川健康教育課長、藤井課長補佐 ・薬物の使用については、適正であれば問題はないと思う。ただし、この場合、無知に乗じての強制はやめるべきで、あくまでも受ける側の意思を尊重することが大切である。 ・10年前にフッ素に関する見解(注)を出しているが、それを強力におし進める動きは今のところない。 (注)1977年「年少者のう蝕抑制のためのフッ化物応用についての考え方」のこと。 |
と回答しており、フッ素については消極的立場をとっているように思う。
また、『厚生省』寺松政府委員の予算委員会での国会答弁では
※ 濱田(健)分科員 文部省関係になってしまいますからもう言葉としては触れませんが、集団としてある町というか、個人の意思以外に集団としてこの弗素の洗口なり塗布をさせていくという方向性が仮にあるとすると、厚生省としてはその辺の見解はどうですか。 ※ 寺松政府委員 私が先ほど申し上げましたように、強制的だとかあるいはそれを推奨するとかいうものではないと存じます。 やはりいろいろと成果を見ますと、集団的にこういう弗化物等を使った場合に、むし歯の数が少ないというデータがございますけれども、 これは個々人の人につきましては、それぞれの方の選択に任されるべきでございますから、やはりインフォームド・コンセントというのでしょうか、 十分内容を説明した上で投与を受けたいという方にしていくべきではないかと考えております。 |
と回答しており、フッ素推進の一方的な情報で「実施希望」の選択を保護者に与え、集団洗口を実施することは、厚生省の言う『十分な内容の説明』をしたとは言えないと思う。
(回答というよりも感想)
政府(文部科学省・厚生労働省)も、現在のところ強力に推進しているとはいえないのは事実のように思います。
考えられることは、平成9年度から地域保健法が施行されましたが、厚生労働省でも歯科に限らず、在宅高齢者の問題にしてもすべて、それぞれの地域の実状に応じた保健福祉を企画立案し、実施しなさいという地域主体に変わってきているからではないでしょうか。
ですから新潟県のように歯科保健に力を入れている県(といっても年間予算は1億ぐらい)はそれなりの特色があっていいし、ほとんど歯については何もやっていない地域もあるようです。
長崎県では全国水準に比べると歯科保健が遅れているとして、平成7年度に「長崎県歯科保健大綱」を作成し、今後積極的に歯科保健に取り組もうとしています。
佐世保市でも同様で長崎県内各地に先駆けて平成8年度に「佐世保市歯科保健大綱」を作成し、平成11年度にはそれを具体化するための「基本計画」および「実施計画」が作成され、現在、取り組んでいるところです。
ですから最終的な選択の決断は市民を含めた佐世保市の考え方ではないでしょうか。
また、日本歯科医師会は平成12年12月に「フッ化物応用(水道水へのフッ化物添加)に関する見解」を発表し、今までよりさらに一歩進んだフッ化物応用推進の姿勢を示しています。
(質問41)
学校の洗口場の数や時間設定など、現場の現状を考えてほしい。
ある学校では、蛇口の数と生徒数を計算すると、約40人に1つということになる。蛇口が少ないため、全員が終わるのに何十分と時間を費やす可能性になる。
今のカリキュラムの中で、それだけの時間を確保するのは無理である。
(回答)
口腔内清掃や歯周疾患予防に対する歯磨きの実施は食後30分以内の昼休みが理想ですが、児童・生徒と洗口場の数の問題から全校生徒一斉に行うのは小規模校以外不可能と思いますので、
中規模校・大規模校は学年もしくは学級を3〜4分割して(1学級40人として1回10人程度)にふりわけて歯磨きを行うといいのではないでしょうか。
また、虫歯予防であるフッ素洗口を実施する場合は、洗口場は1学級に1つの水道があれば良く、フッ素洗口後に吐き出した排液や残留液はバケツなどの容器に一括して処分するといいと思います。
(質問42)
昼休みの実施となると、昼休みは勤務時間外となるので、生徒について指導してもらうのは不可能である。かといって、昼休み以外に特別に時間を設けることはできない。
そうなると当然しない生徒は出てくる。(中学生ともなると、教師がみていないところでは、決まりを守らない生徒もいる。)
(回答)
資料1.にある学校保健法(抄)の第1条に、学校においては児童・生徒および職員の健康の保持増進を図り・・、
第2条は健康診断、環境衛生検査、安全点検その他の保健又は安全に関する事項について計画を立て、これを実施しなければならない・・。そして第7条の項目に前条の健康診断の結果に基づき疾病の予防を行い・・以下中略とあります。
昼休みが勤務時間外であるのなら、歯磨きの実施は各児童・生徒に行わせ、何事も真剣に取り組むことを教えるいい機会になるようにしてはどうでしょうか。
また、フッ素洗口については教師が授業内容の向上と児童・生徒へ歯科保健の重要性をより理解させ、週に15分程度の時間をつくることで、十分に実施できると考えています。
(質問43) フッ素は劇薬ということなので、学校で保管するには、不安が強い。
(回答)
フッ素洗口剤としては「ミラノール」という厚生省認可剤を用いる方法と、フッ化ナトリウム試薬を用いる場合が考えられます。多量の保管は鍵つきの棚等で保管します。
例えば理科の実験で用いる薬品の管理をどうしているのかと同様に学校として考えることが必要です。
フッ素洗口剤は粉末の状態では劇薬ですが、洗口液として水溶液になると劇薬ではなくなります。
(質問44)
佐世保市の水事情が非常に悪い中、何万人の児童・生徒に集団洗口させると言うのは、節水と逆行したことにならないだろうか。
(回答)
フッ素洗口に関して、児童・生徒の1人に必要なフッ素洗口液は7ccで1,000人が使用したとして水量を計算すると7Lです。佐世保市の児童・生徒25,000人で計算すると洗口に必要な水の量は175L(風呂桶
1.4杯分)です。このくらいの水は子供たちの歯の健康のために断水であろうとも確保できるはずと思いますがどうでしょうか。また、使用するコップは紙コップにすれば洗う必要もないと思います。
(質問45)
コップの保管はどうするのか。
一か所においた場合〜中学生は、男女一緒は嫌だとか、あの人のコップには近づけたくないなどのわがままがでる。(傷つく生徒もいて、いじめなどにつながる)
個人で持たせる場合〜衛生面で好ましくない。整理整頓ができない生徒も多く、机の中もロッカーも非常に汚い。持ち物が濡れたり、かびの原因になる。
(回答)
コップの管理がどうしても不可能であれば、紙コップを使用するといいと思います。
実際に行う場合には、各学校の実状に応じて、個人のコップを使用するか、紙コップを使用するか検討すればいいのではないでしょうか。
紙コップ使用の場合、フッ素洗口に使う紙コップ1つは 4.5円なので、児童・生徒が負担するとして、週1回法で年180円、毎日法で900円となります。
(質問46)
長い間、フッ素洗口を同一場所で行った場合、環境への汚染はどの程度認められるか。また、その詳しいデータは存在するのか。
(回答)
フッ素は単体としては存在することができないハロゲン属の元素で、天然界にもともと存在し、常に川の水の中や土中等から流出し、海へ流れこみます。
ある物質が環境汚染物質として問題にされるのは、それが何かの理由で自然界に放出されたとき、それまで自然に含まれていた量が大きく変化する場合や、今まで自然界になかったものが人工的に放出されたために、生態系が何らかの影響を受ける場合です。
現在の川の水は1〜4ppmのフッ素濃度です。例をあげると比較的フッ素含有量の少ない新潟県の信濃川の場合でも、自然の状態で1日に約5.5トン(5,500,000g)のフッ素が海へ流出しています。
フッ素洗口の際に廃棄するフッ素量を25,000人で計算すると、一人7cc/回使用したとして、1日に
週1回法では 5.41mg × 25,000人 = 135.25g
週2回法では 2.41mg × 25,000人 =
60.25g
毎日法では 1.46mg × 25,000人 =
36.5g
のフッ素が川に流れこむことになります。
この量を比較してみると、フッ素洗口がいかにこの問題と関係ないかがわかるのではないでしょうか。
(質問47)
市が負担する場合
それだけの予算が取れるなら、もっと基本的に学校教育において必要なものがあるので、そちらを優先すべきである。
保護者負担の場合
教材費を払えず、不登校になった生徒もいる。教材費の保護者負担減を言われている現状に逆行することになる。
(回答)
フッ化ナトリウムの試薬を使用した場合、週1回法では初年度一人144円、その際紙コップを使用すると一人180円加算され、ミラノールで毎日法を実施した場合は初年度一人756円、その際紙コップを使用すると一人900円加算されます。
ただし、使用するフッ素の濃度、回数、薬剤の種類、方法で多少変わってきますので、具体的には個々の例で検討することが必要です。
@ 市が負担する場合
25,000人では
週1回法 初年度 3,600,000円
(紙コップ使用 8,100,000円)
毎日法 初年度 18,900,000円
(紙コップ使用 41,400,000円)
A 保護者負担の場合
週1回法でフッ化ナトリウム試薬使用の場合は
初年度 144円/人 紙コップを含むと 324円/人
毎日法でミラノール使用の場合は
初年度 756円/人 紙コップを含むと1,656円/人
因みに虫歯1本の治療費は2,500円以上(一部負担金は800円ぐらい)かかり、歯根の治療にまで虫歯が及ぶと20,000円(一部負担金は6,000円ぐらい)になります。
少ない費用をかけて子供たちの健康な歯を維持する方が得か、虫歯になって多くの費用を使い、老後は入れ歯で苦労するのが得か、その選択は行政および市民にあると思います。 私たち歯科専門家は、もちろん予防に費用をかけて健康な歯を一人でも多くの市民の方が生涯保つことをすすめているのです。
(質問48) フッ素の代金の徴収、又、未納金への対応はどうするのか。
(回答)
フッ素洗口と紙コップの代金の徴収、未納金は原則として市や学校が十分負担できる金額と思いますが、実際には関係者の協議により具体的な負担の方法を決めるといいと思います。
(質問49)
子どもは、うがいを上手にできず、誤って飲み込むこともある。フッ素液を誤飲してしまい事故がと考えると、フッ素を扱うのはこわいと思う。
(回答)
最もフッ素洗口の濃度が高いのは週1回法の洗口液中のフッ素量6.37mgですが、この量は安全で全量の6.37mg飲んだとしても全くの異常は認められず、2時間以内に70%以上体外に排出され、1.91mgのフッ素量が残留します。
しかし、人の1日に必要なフッ素量は2〜3mgとされ、6歳で体重が20kgだとしてもそのとき僅かにフッ素量が上昇するだけで、24時間以内にはほとんどのフッ素は排出され、体内の通常の至適フッ素濃度量にもどります。
もしもフッ素洗口液を飲み込んだ児童・生徒に対して、その対処が気になるようでしたら、牛乳100ccを飲ませると即座に中和します。
(質問50)
フッ素洗口は医療行為ではないか。もし、過失があった場合(例えば分量ミス、誤飲等)だれが責任を負うことになるのか。
(回答)
医療行為とは治療やそれに基づく行為を行うことであり、学校でのフッ素洗口は集団による虫歯予防行為であり、医療とは異なります。
これについても資料4.の政府の見解をご参照下さい。
平成3年度からの佐世保市歯科医師会が市教育委員会と実施している「歯牙疾患実態調査」からみても、虫歯はあまり減っていないことがわかります。虫歯の減少を他の何らかの方法で確実に行えればいいのですが、
現状のように学校での毎日の歯磨きの励行や学校歯科保健活動に日夜努力して改善を試みても、残念ながら目に見えて虫歯が減少していないのが事実です。
このような国民病とも言うべき虫歯は、疫学的観点から公衆衛生上フッ素洗口を主体とした積極的な予防対策をしていかなければ減少しないと考えられます。
つまり、フッ素洗口の学校への導入は児童・生徒の健康のために必要であり、疫学的見地で考えて頂きたいと思っています。
(質問51) 診察もなしに、数百人の児童・生徒に薬物を投与して、問題にならないか。
(回答)
フッ素は自然環境物質であり、私たちは日常生活のなかで飲食物とともに常にフッ素を摂取しています。日頃飲食物から摂取するフッ素量は1mg程度ですが、毎日法のフッ素洗口時に口の中に残るフッ素量は1日平均で約0.2mgといった僅かな量です。
このように日常私たちはフッ素を摂取しているのですから、通常の生活を送れるかぎり、フッ素洗口を実施しても全く問題ありません。また、体の弱い子供や身障者が得にフッ素の影響を受けやすいという事実もありません。
(質問52)
フッ素洗口を実施すると、ある程度の期間使用することになるので、いくら少量といっても、長期間にわたって摂取すれば、害が生じてくるのではないだろうか。
安全性や有効性が100%確認されるまで、学校(公教育の場)での使用は避けるべきだと考える。
(回答)
実際に行う場合には、フッ素洗口液の15〜20%を飲むことを前提に、安全量を計算して濃度の設定を行っています。毎日法の場合でもこの量は、子供一人に不足する1日のフッ素必要量よりも少なく、安全性の問題はありません。
(質問53) アレルギー体質の子どもが、フッ素アレルギーを起こさないか、心配である。
(回答)
フッ素洗口によるアレルギーは考えられないし、また過去にその報告もみられません。もともとフッ素は単体では存在せず、化合物として存在しています。
フッ素洗口にはフッ化ナトリウム〔NaF〕(フッ素とナトリウム)を使いますが、極めて安定した化合物であり、体内でフリーラジカル(活性型フッ素)や単体で存在することはなく、よって抗原抗体反応を引き起こす事はないのでアレルギーは起こりません。
(質問54)
フッ素洗口を実施の方向ということであるが、有害・無害の論議が実際にある以上、どちらの意見も十分に出しあったり、資料を提示したりして、教師や保護者が自分の子どもにはどのようにするか選択できるようにして欲しい。
(回答)
この点については、関係者には十分に資料を提供したつもりですが、まだまだ不十分なようですので、ご指摘のように十分検討できる資料をいつでも出せるようにしたいと考えています。
また、有害・無害論ですが、フッ素は過量であれば害があるが、適量であれば虫歯予防に効果があっても為害作用はありません。フッ素洗口に関しては、もちろん安全性を考えた量での実施ということは当然のことです。
また、保護者や子供で希望しない方に対しては、水で実施の予定です。
(質問55)
フッ素という薬でしか、虫歯予防はできないのか。他の食物では摂取できないのか。
(回答)
現在の食生活では、やはりフッ素の摂取量が不足しているのは事実のようです。
しかしながら水の補給はジュースはすべてやめて、フッ素が多く含まれているお茶にして、おやつは菓子類をやめてこれもフッ素の多い小魚を与えるということは、現実的には無理なのではないでしょうか。
もちろん食生活の改善の努力は必要であり、やるべきですが、それにすべてを頼るということは、現実的には家庭でフッ素洗口をしてもらう以上に困難ではないかと思いますがどうでしょうか。
(質問56)
今、「薬害エイズ」の問題が大きく取り上げられているが、フッ素が「第2の薬害問題」として将来取り上げられるのでは?と心配。
(回答)
「薬害エイズ」の問題は、本当に罪なき多くの人々を死に追いやることになり、私たちも早急にその対策を講ずるべきだと思います。
反面フッ素については、全く逆で、エイズでは米国の関係機関がその問題点を指摘していたにもかかわらず、その対応が遅れたのですが、
虫歯予防におけるフッ化物の応用については、数十年来、米国の関係機関はもとより、WHOをはじめとする専門機関、あるいは欧米の先進国でその効果が認められ、その普及が推進されています。
欧米では多くの子供たちが虫歯による歯の喪失(医療費が高いため治療するより抜くことが多い)から守られているという実状を近い将来に佐世保市民(国民)が知ったときには、
虫歯予防のためのフッ化物の応用が普及するのを妨げている人々や関係機関の責任が問われるのではないかと危惧しております。
(質問57) 慢性中毒と斑状歯の発生についてのデータを示して欲しい。
(回答)
図示されたもの(新潟県歯科医師会作成)がありますので、ご参考にして下さい。
(質問58)
妊娠中の使用が、ダウン症の出生率増加につながったということを聞いたが、全く安全なものだという保証があるのか。
(回答)
水道水フッ素添加がなされている地域でも、胎児に対する悪影響は報告されていません。また、死産や新生児の死亡率が増えるという報告もありません。
仮に、母親が誤って大量のフッ素を飲み込んだとしても、血液や胎盤を経由するうちに胎児に移行するフッ素はごく少量になってしまいます。
それが証拠に、胎児期の歯の形成が行われている乳歯にはフッ素を原因とする斑状歯がほとんどみられません。
永久歯の形成は生後間もなく始まりますから、赤ちゃんにとって母乳中のフッ素も重要です。しかし、母親が摂取するフッ素のほんの僅かしか母乳に移行しませんから、乳児に害を及ぼすことはありません。
むしろ母乳保育中の乳児は、フッ素が不足しがちでるあるといえます。
(質問59)
医療機関で薬物を投与する際には、既往歴や体重を考慮にいれ最少の量で最も効果の得られる分量を決定されるが、フッ素の集団洗口で児童全員に同じ希釈のものを用いるというのはおかしいのではないか。
(回答)
この点は水道水のフッ素化については、特に問題となると思いますが、フッ化物の洗口は基本的に薬物の投与(服用・注射)とは異なることはご理解いただけると思います。
子供の成長期にある歯に対する洗口液の作用については、同じ濃度でもほとんど差はないと考えられます。
また濃度設定については、虫歯予防効果があり、かつ安全性を考えた最も低い濃度を設定しているのが実状です。
(質問60)
洗口用として認可されている医薬品は劇薬で、歯科医師の処方のもと蒸留水で希釈し、歯科衛生士が実施できると規定してある。つまり医療行為の範囲と考えらえる。劇物を予防薬に転用し、歯科医師不在の医療行為は問題がある。
(回答)
この点については、政府の見解がでており、問題はありませんが、フッ化物の管理等については、当然のことながら関係者の協力体制をしっかりと作る必要があると思います。
参考までに政府の見解は『劇薬から劇薬でない医薬品を業として製造するには、薬事法に基づく製造業の許可が必要である。
しかし、学校の養護教諭がフッ化ナトリウムを含有する医薬品をその使用方法に従い、溶解、希釈する行為は、薬事法及び薬剤師法に抵触するものではない。』となっており、問題はありません。
※なお、フッ化物の安全性に対する政府の見解の全文も資料4.としてご参照下さい。
(質問61)
洗口用のフッ素は微量であり、確実に希釈すれば安全で有効であるというのが推進派の先生方の意見のようだが、フッ素洗口の場合は一過性の副反応より、むしろその蓄積に問題があるように思う。
(回答)
ご指摘のとおりで、実際に行う場合にはフッ素洗口液の15〜20%を飲むことを前提に、安全量を計算して濃度の設定を行っています。
毎日法の場合でも、この量は子供一人に不足する1日のフッ素必要量よりも少なく安全性の問題はありません。
(質問62)
フッ素を水道水に加えた時最も抑制できたむし歯は発酵性酸触菌であり、抑制率はニュージーランドの例で、約90%であったという報告があるが、水道水のフッ素化が著効した国はすべて欧州や米国で、それらの国は歯炎だけでなく発酵性酸触症の多い地方と聞いている。
と同時に、日本に多い溝とくぼみの歯炎には効果が弱く、歯の間の歯炎に対する効果は中間とも記載されており、日本でいまだにフッ素の明らかな有効性を示すことができないのはこういうそれぞれの国の大地や民族間の差異を無視して導入した結果なのではないか。
(回答)
人種間により歯の形態に差があるのは確かですが、例えば佐世保にも多い外国人と日本人の2世では、日本人と同様に虫歯も多いようです
(ただし現在日本にいても過去に米国でフッ素化された水道水を飲んでいた子供の虫歯はほとんどなく、現在佐世保の米軍基地ではフッ素洗口をしているが、やはり虫歯は少ない)。
逆に、日本人の子供でも米国のフッ素化されたところで育った子供には虫歯は少ないと考えられますが、現在そのデータをもっていないので、調べてみたいと思います。
それから溝とくぼみの虫歯については、日本に限らず米国でも、フッ素だけでは不十分で、シーラント(奥歯の溝とくぼみをプラスチックでコーティングする)を併用することが勧められており、これは日本でも同様です。
それに関する資料を以下に掲載します。
【シーラントのむし歯予防について】 シーラントの効果については4ヶ年までの調査では、実施群はむし歯発生率が5.8%だったのに対し、非実施群83.9%と高率を示した。 データ提供:(財)ライオン歯科衛生研究所・目黒診療所 |
(質問64)
〈スウェーデン〉
1951年、1都市で水道水フッ素化が行われる。市民が人権侵害と科学的根拠が薄弱であるとし、停止を求める訴訟を起こす。1961年、ストックホルムの最高裁は「水道水フッ素化を正当化する根拠はない」と判決を下し、中止される。
〈オランダ〉
15都市で水道水フッ素化が行われていたが、1973年、首都アムステルダムでも実施されようとした際、市民から訴訟を提起され、最高裁は「水道水フッ素化は法的根拠がない」と判決し、その後、実施されていた15都市でも次第に中止された。
〈西ドイツ〉
1カ所で行われていたが、1976年頃、中止される。
〈中国広州市〉
18年間水道水フッ素化をし、子どもたち多数が重い斑状歯となったので1983年に中止した。
調査により、フッ素の多い土壌のために食品からのフッ素摂取量が3.7mgとアメリカの数倍も多かったことが明らかにされた。アメリカ歯学の1日摂取量を無視した「水道水1 F=至適濃度」という誤った「フッ素化戦略」の世界最大の犠牲国。
〈旧ソ連レニングラード市〉
たぶん、中国からの情報により同じ頃に中止。
〈香港〉
中国広州市で水道水フッ素化による斑状歯多発が論争されていたことと関連があると思われるが、1978年に中止。
上記のような国々で中止されているなか、どうして今から始めなければならないのか。
(回答)
上記の中止の件は「水道水のフッ素化」についてであり、虫歯予防のためのフッ化物の応用の中止でないことをまず述べておきたいと思います。
スウェーデン、オランダともに以前は虫歯大国であったのに現在では激減しているのは、主にフッ素の錠剤の服用をはじめとするフッ素入り歯磨剤の普及等、フッ素の効果であることは明らかです。
日本では水道水のフッ素化も、フッ素の錠剤の服用も全く実施していないため、実施できるのはフッ素洗口とフッ素塗布、フッ素入り歯磨剤の使用とフッ素入り歯科材料の使用ですが、フッ素塗布とフッ素入り歯科材料の使用は歯科医院での実施となりますので、
集団や家庭で行えるのはフッ素洗口とフッ素入り歯磨剤の使用になります。現状では個々の歯科医院だけでの対応では大幅な虫歯予防は期待できないため、学校での集団応用を検討しているのです。
(質問65)
フッ素は必須栄養素といわれているが、アメリカ公衆衛生局が1991年に発表した見解によると「フッ素または何らかのフッ素化合物が人間のホメオスターシス、または成長必須であるということに結論的な証拠は存在しない」となっている。
(回答)
必須栄養素であるかどうかは、多少それぞれの機関によって判断が異なるようですが、適量のフッ素は、むし歯に対する抵抗性のある歯を作るとともに、正常な骨格を維持するためにも必要であるとされています。
世界保健機関(WHO)や食糧農業機関(FAO)、アメリカ合衆国食品医薬品局(FDA)など多くの専門機関は、フッ素を身体の健康に欠かすことのできない必須栄養素であるとしています。
また、アメリカ合衆国全国科学委員会は、フッ素の1日所要量を成人で3mgとしています。
フッ素がなければ生命の維持にかかわるかどうかはともかく、丈夫な歯や骨格を形成するためには適量のフッ素は必要なのです。
(質問66)
若い母親でダウン症児の発生が増加していることとフッ素の関係についてアメリカでは、最小母体中毒量を含め、いろいろな投与量によるフッ化物の生殖毒性に関する研究を行うこと。
フッ化物に遺伝毒性があるかどうか調べるために、さらに研究を実施すること。と勧告があっている。
(回答)
常に様々な問題に対して研究し、調査することは大変重要なことであり、誰も反対する人はいないと思います。
ご指摘の点については、現在その問題はありません。
また、ダウン症については、1950年代の誤った論文のために現在でも間違った引用をされているようです。
その内容について述べてみると、
1950年代に、ラパポートという人がアメリカのイリノリ州で調査を行い、「飲料水にフッ素が多く含まれる地域でのダウン症の発現が出生10万に対して72であり、
これはフッ素濃度の低い所の出生10万に対する24〜39と較べて高く、フッ素はダウン症の原因になる」と報告しました。
しかし、これはお粗末な調査方法が指摘され、すでに否定されてしまった“論”なのです。
通常、ダウン症の調査は、地域の内科医、学校医、保健婦、ケースワーカー、その他から広く情報を集めて行われます。
このような慎重な調査によると、フッ素濃度の低いところでダウン症発現頻度は、出生10万に対して108〜190となっています。
ラパポートの報告“フッ素が多く含まれる地域でのダウン症の発現が出生10万に対して72”がいかに低い数字であるかがわかると思います。
後でわかったことですが、ラパポートは、出生児に病院で記録されたもののみを調べただけだったのです。
日本と同様に、アメリカにおいても里に帰って出産する例が多く、分娩した病院と生活してきた場所は異なることが多いのです。
この点からも病院のある地域の飲料水中のフッ素濃度と単純に関係づけることは誤った結論を導くことになります。
病院に保存されている出生記録を調べただけの調査は、あまりにもズサンであると言われているわけです。
この様な調査から得られた結果を母親の年齢でわける等の細かい分析をしても意味のないことはお分かりになるでしょう。
もちろん、フッ素濃度とダウン症の関係については、まともな調査が複数行われており、関係のないことが明らかにされています。
(質問67)
以前から他県でもフッ素洗口が実施されているが、その後の追跡調査はなされているのか。またその報告など資料があれば見せていただきたい。
(回答)
新潟県が20年以上前から実施していますので、主にそのデータを掲載いたします。
(日本歯科評論 591, 21世紀の歯学「日本のある現状から」 田村 卓也著 より引用)
学年 | 弥彦小学校 | 全国平均 | |||||||||||||||
児童数 | 永久歯のう蝕有病者 | 1人平均永久歯のう歯数 | 1人平均う歯数 | ||||||||||||||
1970 | 1978 | 1983 | 1989 | 1991 | 1970 | 1978 | 1983 | 1989 | 1991 | 1970 | 1978 | 1983 | 1989 | 1991 | 1961 | 1987 | |
1 | 101 | 120 | 131 | 124 | 110 | 33.7 | 25.8 | 2.3 | 7.8 | 0.9 | 0.55 | 0.38 | 0.04 | 0.08 | 0.01 | 0.69 | 0.41 |
2 | 85 | 92 | 107 | 131 | 114 | 50.6 | 47.9 | 23.4 | 6.9 | 17.5 | 1.11 | 0.88 | 0.36 | 0.09 | 0.18 | 1.54 | 1.01 |
3 | 88 | 115 | 124 | 110 | 121 | 79.6 | 59.1 | 34.7 | 23.6 | 15.7 | 1.75 | 1.22 | 0.66 | 0.40 | 0.26 | 2.33 | 1.83 |
4 | 104 | 97 | 119 | 140 | 133 | 85.6 | 58.8 | 42.9 | 28.6 | 21.8 | 2.42 | 1.45 | 0.80 | 0.46 | 0.35 | 2.93 | 2.67 |
5 | 108 | 130 | 114 | 138 | 113 | 93.5 | 76.2 | 57.0 | 30.4 | 28.3 | 3.39 | 2.01 | 1.25 | 0.51 | 0.58 | 3.36 | 3.43 |
6 | 127 | 108 | 127 | 107 | 138 | 85.8 | 83.3 | 75.6 | 46.7 | 42.8 | 3.68 | 2.38 | 2.24 | 0.89 | 0.72 | 3.78 | 3.73 |
全学年 | 613 | 662 | 722 | 750 | 729 | 72.8 | 58.8 | 41.6 | 23.1 | 22.0 | 2.27 | 1.39 | 0.89 | 0.40 | 0.36 | 2.44 | 2.18 |
1970年:フッ素洗口開始(小学校) 1978年:保育園でフッ素洗口開始 1983年:1〜4年;4歳から、5年;5歳から、6年;1年からフッ素洗口経験 1989年:シーラント処置開始 1991年:4歳からフッ素洗口+シーラント処置 |
フッ素洗口の継続 1974年(昭和49)年から、村内全般でフッ素洗口をしている牧村では、20歳の1人平均むし歯本数は全国平均の半分以下となっている。
(1990年牧村20歳の歯科健診) |
(質問68)
推進派、反対派両者の意見が聞きたい。
歯科医師会は、「お互いの意見は平行線であるので会をもっても意味がない」と言われるが、片方の意見だけ聞いて導入はできない。
私たちは両方の意見を知った上で考え、判断できるし、またそうすることが大切だと思うので、けして無駄なことはないと思う。
フッ素を導入するにしても、「フッ素はいいと言われたから」といってフッ素の薬害等も知らずに参加する場合と、フッ素をよく知った上で自分で判断して参加する場合とでは、取り組み方にも差がでると思う。
前者は、保健意識の高揚にはつながらない。両方の意見は変わらないかもしれないが聞く価値はあると思う。
(回答)
虫歯予防のためのフッ素利用の有効性と安全性については、内外の専門機関、専門団体が一致して認め、その利用について推奨しており、学会において賛否の論議はありません。
逆の言い方をすれば、もし学会でも賛否両論があれば、このように多くの責任ある専門機関、専門団体がフッ素利用を推奨することはないはずです。
また、推奨するに至る過程の中で反対論についても学術的に十分検討を行っています。
例えばWHOでは、反対論について「…既に立証され、一般的に認められたフッ素利用の安全性に対する反対論は、特殊な条件、不完全な病歴、現症に関するあいまいな記載、あるいはデータの誤った分析及び解釈等に基調したものである。…」と分析しています。
(質問69)
「う歯の保有率を下げるため」という名目で、学校で行うのはおかしい。それならば、1才半検診、3才検診、成人検診などのおりに、市民レベル、県民レベルでの意識を向上させていくのが、本来の形ではないだろうか。
(回答)
佐世保市歯科医師会は佐世保市の保健事業に協力して1才半健診、3才児健診、モデル地区成人歯科健診、その他の健診事業に従事しています。
当然その折には虫歯・歯周病の予防等に関して啓発活動を行っております。又、その他、デンタルフェスティバル、健康と福祉フェスティバル、学校歯科保健研修会、各種の表彰事業等でも意識の向上に努めております。
以上の事業を行っている経験をふまえて、永久歯がはえる時期であり、虫歯の多発期であり、かつ高率に虫歯に罹患している児童生徒期に、安価・安全で最もその効果を大きくできる学校で行いたいと考えるのは当然のことと考えます。
(質問70)
個人が主流になっている現在の医療方針の流れがあるので、「集団でやれば良い」という考え方はやめて、もう少し個人(各家庭)を尊重していくべきではないか。
(回答)
各個人については歯科医院のレベルでその普及に努力しているところです。しかし考えて下さい。ほとんどの児童生徒が虫歯に罹患しているということを。個人個人の対応ではとても間に合わない、多くの目のいきとどかない子供達のことを考えて頂きたいと思います。
(質問71)
県の歯科保健大綱は、フッ素を導入するために作成されたのではないかと思った。むし歯予防がそこまで重要ならば歯科医師会は、もっと各家庭や地域社会そして各学校に対して啓蒙すべきである。
特に学校に対しては、歯みがき時間の確保について校長会等へお願いしてもよかったのではないかと思う。むし歯予防イコールフッ素導入ではあまりにも短絡的すぎる。
フッ素についてすべての学者が副作用なしと言いきる日まで公教育の中では使うべきではないと思う。
(回答)
虫歯予防のフッ素洗口法については、専門家集団である日本口腔衛生学会でその安全性は明言されています。
学会の見解を資料6.として加えておきますので、ぜひご覧下さい。
また、県の歯科保健大綱をじっくり読んでいただきたいと思います。今後の歯科保健の目標として非常に大切だと考えます。
虫歯予防については前にも述べておりますが、佐世保市歯科医師会として色々な形で努力してきているところです。ブラッシングについては、教育委員会そして養護教諭部会との協議会の折等にも口をすっぱくしてその必要性を訴えてきたつもりです。
虫歯予防にはその方法として原因別に、歯質の強化、甘味の制限、口腔内細菌の除去の3つの方法があり、これを組み合わせるのが最も効果的です。
その内の歯質の強化を目的としてフッ素洗口を行うわけです。その点を御理解下さい。何もフッ素のみにてすべてが解決するといっているわけではなく、おやつの摂り方、歯磨きも併用してこそ大きな効果が出るのです。
(質問72) 洗口中誤って飲み込んだとき、フッ素は胃の中でどのような反応を起こすのか。
(回答)
胃の中では各種の緩衝作用を受け、試験中の反応のように一定のものではございません。水溶液の形で胃中に入ったフッ化物は速やかに胃壁より吸収され、血液中に入って各組織に運ばれます。大部分は24時間以内に尿中に排泄され、体外に出ます。
(質問73)
県の歯科保健大綱の中で国も積極的な利用を推奨しているとあるが、この「国」というのは、厚生省のことであろうか。そうであるとしたら、文部省はどのように考えているのか。
(回答)
わが国でも、昭和24年に既に厚生省と文部省の手でフッ素塗布実施要領が出されており、昭和43年には厚生省からフッ素洗口に関する小冊子も出されております。
また、昭和46年には日本歯科医師会が「フッ化物に対する基本的見解」を発表し、『現在、フッ化物応用にまさるう蝕予防手段の存在しない事実からして、フッ化物によるう蝕予防の推進こそが現時点における最良の方法であるといえよう』と結論づけています。
翌昭和47年には、口腔衛生学会がこの基本的見解に対し、学会として全面的な支持表明を行っています。その他、厚生大臣の諮問機関である歯科保健問題懇談会や日本学校歯科医会なども推奨しています。
さらに、昭和60年3月の国会でフッ素の安全性に関する質問書に対し、内閣総理大臣が問題はないという旨の答弁書を提出しています。
このように、安全性、有効性が認められ、普遍的な定説になっているからこそ歯科医師国家試験で、フッ素の基礎知識から臨床応用まで多岐にわたり出題されているのです。
厚生省については、資料7.の「幼児期における歯科保健指導の手引き」の抜粋を加えておきます。
厚生省関係では他にもフッ素に関してはたくさんありますが、この資料が一番分かりやすいと思います。
また文部省の見解については、先にもご紹介した資料2.の「小学校 歯の保健指導の手引き(改訂版)」をご覧下さい。
(質問74)
行政でできる事、地域でできる事、保護者でできる事は、どんどん返していくべきである。
「学校」という公共の場を利用するだけでなく、公民館や、各種の検診会場などで、市民レベル、県民レベルで意識を向上させるところから、まず始めるべきではないか。
(回答)
今回の歯科保健大綱の作成の意図は、虫歯予防のためのフッ化物の応用だけではなく、それは虫歯予防の様々な方法の一つにすぎません。ご指摘のように現在でも市民の意識改革も当然重要な柱の一つとして実施していますが、歯科疾患の特性として、
・自然治癒をせず、一方的に重症化する
・予防がかなりの部分可能であり、その方法もほぼ確立している
・虫歯と歯周病の予防は児童・生徒期が最も効果的である
以上の理由のため、児童・生徒期の子供たちに集団で予防対策を実施することが、将来的にはより多くの市民の歯の健康に効果的であることを是非、ご理解願いたいと存じます。
(質問75)
県の歯科保健大綱のP10に、
・1才6か月児のむし歯保有率は、 9.7%
・3才児のむし歯保有率は、 67.2% となっている。
学童期もだが、まず乳幼児期のむし歯予防対策の徹底が重要視されていかなければならないのではないだろうか。そのためには、妊産婦を含む母親たちへの指導をまず徹底してほしい。
(回答)
ご指摘のとおりで、現在でも妊産婦指導、1才6カ月および3才児健診を保健所と協力して実施していますが、今回の大綱作成により、さらに出生前および乳幼児期の虫歯予防には効果的な対策を検討しています。
しかしながら現実には、歯は6才頃を境にしてすべて乳歯から永久歯に生え変わるという特徴を有しているため、乳歯で失敗した子供達や保護者にとっても、永久歯の交換のときにしっかり予防すれば、永久歯の虫歯にならなくてすむのです。
虫歯予防は複雑な要因が多くてなかなか難しいのですが、乳歯での経験を踏まえて、永久歯を健全に育てることは乳歯の虫歯予防以上に優先されるのではないでしょうか。
(質問76)
う歯の考え方に疑問を感じる。未処置歯、喪失歯、処置歯もすべて含めてう歯と考えるのは、なぜだろうか。処置歯というのは、確かにう歯にはなったものの、処置の終わった歯であることを考えると疑問である。
(視力は、裸眼でも矯正でもAであればよしとする時代なのだから、う歯についても考え方を変えていってほしい。)
(回答)
虫歯は自然治癒しないため、一度虫歯になるとその部分は削除して人工物におきかえますが、口の中はアイスクリームのような低温からお茶のような高温までの温度差と、1〜50kgの様々な方向からの咀嚼力が常に加わっている環境の中で、
数ミリ単位の人工物を永久的に維持することは現在のの科学ではまだ十分ではありません。
しかも、人工物と歯との接合面は常に2次的に虫歯になりやすい部位となっています。そのため一度でも虫歯になると、たとえ治療したとしても、将来喪失するリスクが高いということでカウントされているのです。
(質問77)
保健指導全体を各学校の実態に応じて充実させ、あくまでもその一貫として歯科保健にも取り組んでいかなければ、時数、カリキュラムなどを考えたら、無理がくるのではないかと考えられる。
(回答)
ご指摘のとおりだと思います。各学校の歯科保健に取り組んでいる内容によっては、まず健康教育から取り組むことや、歯磨きを定着させることから始めることが大切です。
個々の学校で、可能な限りの歯科保健対策を実施した結果、虫歯が減少しなければ、学校関係者の理解と納得と協力により、フッ素洗口の積極的な取り組みも検討してほしいと思います。
(質問78)
学校職員全体への説明も希望する。(実施となれば、学校職員全部が関わってくることなので)
(回答) ご指摘のとおり、万全を期してする必要があると思います。
(質問79)
事故が発生したときの責任、対処法など、もっと明確化していただきたい。例えば斑状歯がでた場合、昭和52年に新潟県歯科医師会がその著書で回答したように「フッ素によるものであると断定する事は、ほとんど不可能である。」と主張するだけなのだろうか。
(回答)
実際にフッ素洗口を実施することになれば、関係者の役割分担や協力関係をしっかりと築くことが必要となります。その過程で学校の規模や関係者の係わり方によっても責任の明確化は当然はっきりさせておくことが、必要と考えられます。
それから斑状歯については、先の質問回答にもありますように、フッ素洗口による斑状歯の発生は考えられません。
(質問80)
保護者に希望を取るといっても、「学校がいいからしろと言っている。」とか、「自分の子供だけしないというのは言いにくい。」など半強制的な面がでてくる心配があるし、フッ素洗口をする子供としない子供への配慮なども考えられているのだろうか。
(回答)
ご指摘のように、したくない子供や保護者に無理やりさせないシステムをきちんと作ることが必要と思われます。現在行っている幼稚園等ではしない子供には水でうがいを同じようにさせていますが、そのような方法も含めて、関係者と検討したいと考えています。
(質問81)
北松猪調小学校のデータを正確に知りたい。またなぜ中止になったのかという経緯も知りたい。
(回答)
昭和60年から開始され、昭和63年に新たに赴任された校長先生の考えで中止されたと聞いております。なお、詳しいデータ等については資料5.をご参照下さい。
(質問82)
歯科医師会の先生方がフッ素の話をされる時に、1969年にWHOにおける水道水フッ素化の決議と加盟各国になされた勧告などをフッ素の正当性の論拠とされているが、この勧告は、23か国の反対にあい、飲料水フッ素化を制限的に推奨できたに過ぎず、
それも住民集団の総意に任せるという決議を採択しているという事の説明も同時にされなければいけない。
(回答)
水道水をフッ素化することは、残念ながら現在の日本では実施されていません。また諸外国でも、一度はある地域で水道水のフッ素化をしても、その後住民の意志で中止しているところもあります。
今後水道数のフッ素化についても議論が必要となってきますが、当面WHOも、虫歯予防に効果的であると推奨しているフッ化物の応用の中で、水道水のフッ素化とフッ化物の錠剤の服用のない日本(佐世保)では、
せめてフッ素洗口やフッ素入りの歯磨剤を用いて少しでも虫歯を予防しましょうとすすめているのです。
(質問83)
歯科医師の先生方が、子供たちや親たちに、講話をされる時には、フッ素を夢の薬のように話すのをやめてほしい。
(回答)
私たちはフッ化物の応用を虫歯予防の夢の薬のように話しているつもりは全くありませんが、これは恐らく受けとめ方の違いではないでしょうか。虫歯予防の講演をするときは、その予防方法として、
・定期的な歯科健診を受ける → 早期発見・早期治療のため
・規則正しい食生活をおくる → 虫歯菌の増加を防ぐため
・歯磨きやフロス(糸ようじ)を励行する → 虫歯菌や歯についた汚れを除くため
・奥歯の溝はシーラント(予防充填)を行う → 歯ブラシが届かない、深い溝の中を防ぐため
以上4つに加えて、フッ化物の応用をすることを話していると思います。ただし、現状では上記4つに比べてフッ化物の応用が不十分なために、それを強調するあまり、質問のような受けとめられ方をされているのかもしれませんが、
欧米でフッ素を効果的に使用することにより、虫歯が激減しているのも事実であり、そういう意味からは現状では「夢の薬」と言えるかもしれません。
上記は、平成8年2月に開催されました「佐世保市歯科保健大綱検討委員会」の教育委員会関係の分科会終了後に、公立幼稚園・保健主事会・養護教諭部会から提出されました「フッ素洗口に係る疑問点・問題点・意見」について、佐世保市歯科医師会として回答したものです。 ご質問等の回答を要約すると次のようになると考えられます。
虫歯予防における「フッ化物の応用」については、世界および日本の専門機関・団体がその効果を認め、その普及を推奨している。
虫歯予防における「フッ素洗口」の効果と安全性はすでに確立されている。
実際に「フッ素洗口」を園・学校で実施するためには、関係団体や関係者の十分な理解と協力のもとに、基本となるマニュアル作成を含めて、事前の協議を行い、それぞれの関係者の役割の分担および責任体制の確立をはかることが必要である。
また、個々の園・学校の実状に応じた柔軟な対応も考えなければならない。
「フッ素洗口」のみで虫歯を100%防げるわけではないので、個々の園・学校の事情に応じた幅広い歯科保健対策の中に「フッ素洗口」もその一部として、位置付けることが必要である。
以上の4点に集約されると思います。
現状では8020の達成時期は2065年あるいは2071年(56〜65年後)という報告もあります。高齢化社会となり老後の食生活を快適にするためにも、歯を失う最大の原因である虫歯予防をより効果的に行うことが必要です。
また、すべての子供たちが虫歯になるのを防ぐためにも、行政を含めた関係者の理解と協力体制の確立が必要です。
園・学校の先生方も、保護者の方もご多忙の中、少しでも歯の健康について関心を持たれ、少しでも多くの子供たちを虫歯から守るために積極的な行動を是非ともお願いしたいと存じます。
前述の回答の中で引用しました資料、文献やその他参考になる図書、資料の一覧をまとめておきますので、詳しくはぜひご参照下さい。入手できない場合がありましたら、歯科医師会までご連絡お願いいたします。
学校保健法 1958年4月
この学校保健法を含めて歯科保健関係の法律書、要綱、通例等は以下にすべて収録されています。
『歯科保健指導関係資料』(2000年版):厚生省健康政策局歯科保健監修 口腔保健協会 2000年3月
小学校 歯の保健指導の手引き(改訂版):文部省 東山書房 1992年4月
口腔疾患の予防方法と予防プログラム−WHOの指針−:口腔保健協会 1986年2月
フッ素の安全性に関する質問主意書(第102回国会衆議院会議録 第12号):官報号外 1982年2月
猪調小学校歯科健診データ:昭和60年3月 北松歯科医師会
う蝕予防プログラムのためのフッ化物応用に対する見解:日本口腔衛生学会フッ素研究部会 1982年
幼児期における歯科保健指導の手引き 平成2年3月
これも以下に収録されています。
『歯科保健指導関係資料』(2000年版) 厚生省健康政策局歯科保健監修 口腔保健協会 2000年3月
長崎県歯科保健大綱(歯っぴいスマイルプラン):長崎県 1995年10月
むし歯予防におけるフッ化物応用マニュアル:長崎県・長崎大学歯学部・長崎県歯科医師会編集 1999年
フッ素洗口の手引き:新潟県・新潟県教育委員会・新潟県歯科医師会・新潟県歯科保健協会編集 第6版 1994年3月
これからのむし歯予防:飯塚喜一・境 脩・堀井欣一編 学建書院 1993年11月
スタンダード口腔衛生:飯塚喜一・小西浩二・森本 基編 学建書院 1993年4月
集団を対象としてフッ化物局所応用マニュアル:日本口腔衛生学会フッ素研究部会編 口腔衛生協会 1988年3月
口腔保健のためのフッ化物応用ガイドブック:日本口腔衛生学会フッ素研究部会編 日本保健協会 1995年2月
フッ化物応用と健康−う蝕予防効果と安全性−:日本口腔衛生学会フッ化物研究委員会編 口腔保健協会 1998年6月
フッ化物に対する基本的見解:日本歯科医師会企画調査室 1971年2月
「フッ化物応用についての総合的な見解」:日本歯科医学会 1999年11月
「フッ化物応用(水道水へのフッ化物添加)に関する見解:日本歯科医師会 2000年12月
う蝕予防歯磨剤の機能性について:日本歯磨工業技術委員会 歯界展望 第81巻6号 1993年6月