[平成12年度〜平成21年度]
[平成12年度〜平成14年度]
<はじめに>
佐世保市では、平成7年度に作成された「長崎歯科保健大綱(歯っぴいスマイルプラン)を基に、歯科保健の長期行動計画として、地域性や状況を考慮した「佐世保市歯科保健大綱」が平成8年8月に策定されました。
この本市の歯科保健大綱を、より市民の歯科保健向上に反映させていくために、平成9年8月に佐世保市歯科医師会を中心に、関係諸団体の代表や学識経験者から構成される「佐世保市歯科保健推進協議会」が発足しました。
協議会においては、「お口の健康づくり」について総合的に考え、各ライフステージ別の課題等について市民みんなが実行できるように、「子ども期」「教育委員会」「成人期」の3つの作業班が置かれ検討・協議を重ねてきました。
その結果、本市の歯科保健大綱をより具体化させた「佐世保市歯科保健基本計画」及び「佐世保市歯科保健実施計画」の完成となったものです。
この基本計画および実施計画を基に、市民みんなが歯科保健の基本目標である3本柱の
1.生涯おいしく、楽しく食事をすることができる
2.歯科疾患が生活に支障をきたす原因とならない
3.口もとを気にせず、機能的にも問題がなく楽しく会話をすることができる
ことが自ずと達成できれば幸いです。
また、この基本計画および実施計画を策定するにあたり、多大なるご尽力を頂きました佐世保市歯科医師会の先生方、歯科保健推進協議会の委員の先生方に厚く御礼申し上げ感謝いたします。
本計画が歯科保健の向上に携わる関係者の皆様の指針として、なお一層、本市の市民の歯科保健が向上し、推進していくことを願います。
平成12年4月
第1章 計画策定にあたって
1 計画策定の目的
平成8年、本市における歯科保健の基本構想である「佐世保市歯科保健大綱」が策定されました。この歯科保健大綱を受け、本計画では中長期的な視点から歯科保健の展開についての方向性を示しています。これにより、総合的、計画的な行財政運営を図り、 市民、関係諸団体、行政の協働によって歯科保健を推進します。
2 策定の准進体制
佐世保市歯科保健基本計画及び実施計画策定にあたっては、歯科医師会を中心とした 関係諸団体、機関の代表からなる作業班と、佐世保市歯科保健推進協議会の2つの組織において協議・検討しました。
作業粧はライフステージ別に大きく「子ども期作業班」「教育委員会関係作業部会」「成人期作業班」の3つにわかれています。しかし、関係者一丸となった歯科保健の推進には、大目標など関係者相互の理解が必要と考えられ、合同班会議が開かれ策定に至りました。
合同班会義は平成11年4月から4回にわたり開催され、これまでの既存の資料をもとに全てのライフステージにおける今後の取り組みについて、優先順位や目標値の設定そして具体的な方策について各委員の終始熱心な質疑応答を重ねて検討を行いました。
第1回 平成11年4月12日(火):合同班会議
・計画策定タイムスケジュール確認
・各計画の骨子
・基本計画内容について
第2回 平成11年7月27日(火):合同班会議
・各ライフステージ毎の優先順位の決定について
第3回 平成11年10月4日(火):合同班会議
・基本計画内容確認
・目標値の設定
第4回 平成11年10月18日(火):合同班会議
・実施計画内容の検討
第5回 平成11年11月15日(火):佐世保市歯科保健推進協議会
・全体質疑
3 役 割
歯科保健基本計画は、すべてのライフステージを含み、いわゆる本市の3プラン(老人保健福祉計画、障害者プラン、エンゼルプラン)との整合性が重要となります。
今後、3プランにおける歯科保健分野はこの基本計画及び実施計画に基づき推進され、また、国の指針である「第4次老人保健福祉計画」および「健康日本21」の内容も踏まえて検討・推進していきます。
4 計画の名称・構成・期間
この計画は「第一次佐世保市歯科保健基本計画」とし、計画期間を平成12年度から平成21年度までの概ね10年間計画とします。
ただし、数値目標を含め進捗状況について定期的に評価するとともに、必要に応じて数値目標等の見直しを行います。
また、この「第一次基本計画」を受け「第一次歯科保健実施計画」を策定します。
「第一次歯科保健実施計画」は概ね3年間計画とします。
5 背 景
1)厚生省「8020運動」
厚生省は平成元年度から「8020(ハチマルニイマル運動)」を提唱しています。これはおいしく食事ができるためには、少なくとも20本の歯を有することが必要であり、80歳になっても少なくとも20本以上の歯を保有することを目標としています。
2)長崎県
長崎県は平成7年に県民の歯科保健に関する総合的な行動計画としての「長崎県歯科保健大綱」を策定しています。現在、大綱策定後、5年経過したため、また、「健康ながさき21」と連動して、「新長崎県歯科保健大綱」を作成中です。
そこでは、各ライフステージ別に現状と課題、そして基本理念及び対応策が記載されています。
3)佐世保市
佐世保市においては、平成8年「佐世保市歯科保健大綱」が策定されました。
それを受け、平成9年度、関係各団体代表と学識経験者から構成される「佐世保市歯科保健推進協議会」が発足しました。
協議会には「子ども期」「教育委員会」「成人期」の3つの作業班がおかれ、具体的な内容について協議を行っています。
第2章 計画の理念及び基本目標
1 基本目標
「ひと・交流想像都市」を目指す佐世保市では人々が交流し豊かな生活をつくることを目標としています。健康をコントロールし改善できる力を身につけ、豊かで楽しい生活 (人生)をおくるために係わる歯科的項目として、私たちは佐世保市民が
「生涯おいしく、楽しく食事をすることができる」
「歯科疾患が生活(仕事や勉強など)に支障をきたす原因とならない」
「口もとを気にせず、機能的にも問題がなく楽しく会話をすることができる」
ことが重要であると考え、基本目標としました。
2 ライフステージ別の目標
生涯にわたる基本目標に到達するために、各ライフステージで充足していくべき目標を掲げました。
○ 妊産婦期
「おいしく、楽しく食事をすることができる」
「歯科疾患が原因で生活に支障をきたすことがない」
妊娠中は歯科治療を受けることが困難になります。また、妊娠性歯肉炎によって、歯磨きをするときなど出血傾向が見られます。妊娠によって口腔内が影響され、生活が阻害されることがないようにすることが重要です。
○ 0歳〜11歳
「歯や口腔の機能に問題がなく、お口の中がさわやかで笑顔がすてきな子供たち」
子供たちのむし歯の罹患状況にも個人差があり、まだまだ一人で多くのむし歯を持つ子供もいます。また、現在でも無歯科医地区があり、治療のために修学などに支障をきたすことがあります。
○ 12歳〜19歳
「大きくお口をあけて笑い、笑顔がすてきな青少年」
「自分で健康づくり(管理)ができる」
自らが健康をコントロールし、改善できる能力を身につけていくことが重要です。まず日常的な歯科保健行動からその能力を高め、自分で健康づくりができるように成長していくことが大切です。
○ 20歳〜64歳
「自分で健康づくり(管理)ができる」
「歯科疾患が原因で生活に支障をきたすことがない」
自らが健康をコントロールし、改善できる能力を身につけていくことが重要です。自覚症状があまりない青年期から日常的な歯科保健行動を確立していくことが大切です。
○ 65歳以上
「清潔で健康な口腔を維持できる」
「咀嚼・嚥下機能の維持と回復」
残念ながら、現在の日本でも本市でも65歳以上になると、機能的にもまたおいしく食事をできるために必要な歯を所有している人が少ないのが実状です。
失ってしまった機能を回復し維持するとともに、清潔なロ腔を保つことが重要になります。
○ 障害児
「清潔で健康な口腔を維持できる」
「咀嚼・嚥下機能の獲得と維持」
障害児は日常的な歯磨きや治療がなかなか困難な状態にあるために、一層のケアなどが必要になります。たとえ障害があってもおいしく食事ができるためには、咀嚼・嚥下機能が維持され、清潔で健康な口腔であることが重要になります。
○ 要援護高齢者・障害者
「清潔で健康な口腔を維持できる」
「咀嚼・嚥下機能の維持と回復」
要援護高齢者や障害者はより周囲の関係者のサポートを必要としています。たとえ介護が必要となっても障害があってもおいしく食事ができるためには、咀嚼・嚥下機能が維持、回復され、清潔で健康な口腔であることが重要になります。
3 条件と優先順位
各ライフステージ別の目標を達成するための条件とその優先順位を決めました。
4 現 状
これまでの既存の資料を参照に分析をおこないました(図表参照)。
5 目標値
既存の資料があるものについては参考にし、目標値の設定を行いました。また、検討資料がないものについては、今後調査などを実施していき追って目標値を設定していきます(図表参照)。
6 施策の方向性及び具体的案
今後10年間の施策の方向性を明確にするとともに、そのための具体的なプランについて案として考え列記しました(図表参照)。